映画「アルキメデスの大戦」を見ました。戦艦大和撃沈シーンから始まる、この映画は、大和の沈没とは何だったのかを問う力作だった。
数学者櫂(かい)が、予算見積もりの改竄を批判するため、本来の大和の建造額を割り出してゆくドラマは、大艦主義から航空母艦時代へと移行する過程で、何故、大和が建造されたのかを問うものだった。戦艦大和は帝国海軍を体現しているという象徴的議論は、いかにフィクションとは言え、深く考えさせられた。
「大和」の建造は「戦争」への道だ、建造を阻止しなければならない、しかし、議論の本質は「大和」が大帝国日本の敗戦、そして復活のシンボルになる必要があったという事であり、それは平和を愛し日本を愛する者同士の情念の衝突の火花であり、その熱情こそ、その後の日本の復興の力になったと思われる。
そして、戦争と平和の間の切実な葛藤の情景が、現代を生きる人間の有るべき姿をより深く描いているように思われた。