令和2年11月28日(土)の午後は、延岡市主催「延岡市史は何をめざすか」をテーマに、九州大学名誉教授、福岡市博物館総館長の有馬学(延岡市史編さん懇話会長・編集委員長)氏の講演を拝聴した。
有馬氏の話は、学術性を基礎に、広範な視野に立ち、過去から現在に至る歴史の流れを意識しつつ、時代の変化をキャッチして、現代のグローバリズムがもたらす変化を意識しての「地域史」を作り上げたいとの志を語られた。
特に民俗学の祖である柳田國男氏が文献資料のみでは「農民史は『一揆と災害の連鎖』・・となるであろう」の文言を示され、文献に残るものは特殊な事柄が多いので、平常の民=「常民」の意識も歴史に必要との指摘がなされた。
また、朝ドラ「エール」の古関裕而を研究した辻田真佐憲氏の「歌」で綴るドラマをフィクションとして一蹴して、批判するのではなく、歴史の専門知と市民が求める歴史意識の融合が図られるべきとも語られた。
「新しい郷土史を作りたい」との言葉には、誠実な情熱が感じられ、令和14(2033)年、市制100年に完成予定の延岡市史の編集に期待を寄せる事が出来た。これを主催した文化課の皆さんに感謝したい。